
FX(外国為替証拠金取引)は、ドルや円などの通貨ペアを売買して損益を得る投資です。
また、損益は価格予測に基づいて取引を行うことで発生します。
FXは初心者には難しいと思われがちですが、実際の始め方はそれほど複雑ではありません。
しかし、勘や推測だけで取引を行っても、長期的な利益を得るのは困難です。
重要なのは、大きな利益を追求する前に、適切なリスク対策を行うことです。
この記事では、FXの始め方や、初心者がFXで失敗しないためのリスク対策方法について詳しく説明します。
FXを始めるにあたって
まずFXを始めるには、FX会社を選び、口座を開設する必要があります。
以下は、FXの始めるための4ステップになります。
それぞれ詳しく説明していきます。
FXを始めるためのステップ1:FX会社を選ぶ
FX取引を始めるにあたり、最初にすべきことはFX会社の選定です。
各社は必要な資金や取引コストなど、サービス内容が異なるため、自分のニーズに合致するFX会社を選ぶことが重要です。
FX会社を選ぶ際の初心者向けのポイントは以下の通りです。
これらのポイントを入念に比較検討した後で、自分の取引スキルに合ったFX会社を選ぶことが重要です。
以下では、上記の4つのポイントについて詳細に説明していきます。
FX会社を選ぶ際のポイント1:初心者に向けた教育コンテンツの充実度
FX取引には、専門用語、チャートの読み方、注文の方法など、多くの基本知識が必要です。
基本知識を身につけずに取引を始めると、大きな損失を招く可能性があります。
初心者は、取引を急ぐのではなく、まずFXの基本を学んでから取引を開始することがおすすめです。
FXの基本を学ぶには、FX会社が提供する初心者向けの教材が大変役立ちます。
これらの教材では、取引ツールの使い方、注文の方法、市場分析の技術など、実践に即した内容を学ぶことができ、
取引を始めるためのスキルを身に付けることができます。
FX会社を選ぶ際のポイント2:少額から取引可能か
FXで長期的な利益を得るためには、一定の取引経験とスキルが必要です。
初心者は、すぐに大きな利益を追求するのではなく、少額から始めてFXに慣れることが推奨されます。
取引開始に必要な資金はFX会社によって異なり、各社は最小取引数量(1,000通貨、10,000通貨など)を設定しており、
これが少ないほど少額での取引が可能になります。
またレバレッジというシステムを利用することで、実際に必要な取引金額を25分の1まで減らすことができます。
例えば、最小取引数量が1,000通貨の場合、ドル円を約4,000円(1ドル100円として計算した場合)で取引することができます。
下表は、上記の条件(1ドル=100円、レバレッジ25倍)において各最小取引数量に必要な資金の一覧です。
| 通貨ペア | 1通貨 | 1,000通貨 | 10,000通貨 |
|---|---|---|---|
| ドル/円 (USD/JPY) | 4円 | 4,000円 | 40,000円 |
初心者の方は、1通貨や1,000通貨から取引可能なFX会社を選ぶことをおすすめします。
FX会社を選ぶ際のポイント3:取引コスト
FX取引では、各取引にコストがかかります。
利益を最大化し、損失を最小限に抑えるためには、取引コストを低く抑えることが重要です。
FXでの主要な取引コストはスプレッドであり、これはFX会社の手数料として各取引に記録され、投資家にとってのコストとなります。
ただし、必ずしもスプレッドが狭いFX会社が一番低コストであるとは限りません。
なぜなら、FX取引のコストにはスプレッド以外にも、約定スピードの速さが影響するからです
スプレッドが狭い場合でも、約定スピードの影響で、結果的に高い取引コストがかかる場合があります。
FX会社を選ぶ際のポイント4:取引ツールの使いやすさ
FX取引は、FX会社が提供する取引ツールを通じて行われます。
利用可能な取引ツールはFX会社ごとに異なり、それぞれ機能面で多様な特徴を持っています。
効果的なトレード戦略を展開するためには、高機能な取引ツールを提供するFX会社の選択が重要です。
例えば、スマートフォンで取引を行いたい場合は、スマートフォン取引に特化したFX会社を選ぶと良いでしょう。
また、市場分析を行う際には、利用可能なテクニカル指標の数や描画ツールの種類も重要な要素です。
高性能な取引ツールは、トレードの効率を向上させることができます。
FXを始めるためのステップ2:口座開設の申込
FX会社を選定したら、口座開設の手続きを行います。
口座開設のプロセスは主に次のような5つのステップになります。
FX会社によって口座開設方法は異なりますが、上記の5ステップが簡単な口座開設までの流れになります。
詳しくは各FX会社のHPを確認してください。
FXを始めるためのステップ3:投資資金の入金
口座開設が完了したら、資金を入金します。
入金方法については、主に以下2つがあります。
・ネットバンクによる入金
・銀行振込による入金
ネットバンクによる入金は、即座に入金が反映される方法です。
主な特徴には、
①24時間365日リアルタイムでの入金反映
②手数料無料
③自宅のPCやスマートフォンからの操作で入金が可能、という点が挙げられます。
銀行振込での入金は、銀行の窓口、ATM、インターネットバンキングを通じて、当社指定の口座に振込を行う方法です。
通常、入金確認後30分から1時間以内にFX口座に反映されることが多いです。
ネットバンク口座が無い方は、銀行振込による入金になりますが
手数料が発生する場合もあります。
FXを始めるためのステップ4:取引・注文開始
入金が完了して口座に反映され次第、実際の取引を開始します。
FX取引は主に以下のステップで行います。
それでは以下にて、詳しく説明していきます。
取引・注文におけるステップ1:通貨ペアを選択
FX会社で口座を開設し、証拠金を入金した後は、実際の取引を開始します。
取引を開始するには、まず取引する通貨ペアを選択します。
FXの通貨ペアとは、2つの異なる国の通貨をペアにしたもので、株式投資における銘柄に相当します。
例えば、「ドル/円(USD/JPY)」はアメリカのドルと日本の円のペアで、「ユーロ/円(EUR/JPY)」は
ヨーロッパのユーロと日本の円のペアです。
まず初めての方は、ドル円ペアから取引を始めることをお勧めします。
アメリカと日本の通貨であるため情報が集めやすく、取引量が多いため価格の動きが比較的安定しています。
ドル円は初心者に取引しやすい通貨ペアと言えます。
取引・注文におけるステップ2:新規注文
通貨ペアを選んだ後は、新規注文を出して決済を行います。
FXの注文方法には多様なものがありますが、主に以下の5つが代表的です。
それでは以下にて、詳しく説明していきます。
■1.成行注文

成行注文は、即座に取引を開始したい場合に利用する注文方法です。
「現在の市場価格ですぐ取引を行いたい」という状況で使用されます。
成行注文は、注文がFX会社に届いた後、最新の市場価格で順次処理されます。
インターネットを通じた取引では、FX会社との通信は通常1秒以内に完了します。
しかし、市場の状況によっては、約定処理が行われる間に価格が変動し、
スリッページと呼ばれる価格のずれが生じることがあるため注意が必要です。
■2.指値・逆指値注文

指値注文は、希望する売買価格を設定する注文方法です。
売り注文も買い注文も、現在の市場価格よりも有利な価格で行います。
価格が現在より上昇した場合は売り、下降した場合は買いになります。
また逆指値注文は、損失を限定するために使用される手法で、「現在の価格より高くなったら買う」
「現在の価格より低くなったら売る」という条件で価格を設定し、想定以上の損失を防ぐための注文方法です。
■3.IFD注文について

IFD(イフダン)注文は、新規注文と決済注文または逆指値注文を同時に行う方法です。
たとえば、価格が〇円まで下がったら購入し、その後〇円まで上がったら売却する場合に使用します。
■4.OCO注文について

OCO(オーシーオー)注文とは、価格が上昇する場合と下落する場合の両方を想定して2つの注文を出し、
一方が約定するともう一方は自動的にキャンセルされる方法です。
■5.IFO注文について

IFO(アイエフオー)注文は、IFD注文とOCO注文を組み合わせた方法です。
新規注文、利益確定注文、損切り注文の3つを一度に発注可能です。
IFO注文では、新規注文が約定すると同時に、利益確定と損切りの注文が自動的に行われます。
エントリーから利益確定、損切りまでを自動で管理できるのがIFO注文の利点です。
これらの注文方法をマスターすることで、事前に注文を設定しておけば、チャートを監視していない時でも自動的に取引が行われます。
まずは、成行注文、指値注文、逆指値注文の方法を学び、その後IFD注文、OCO注文、IFO注文なども覚えていきましょう。
取引・注文におけるステップ3:決済注文
決済注文は、ポジション(建玉)を清算するための注文です。
この注文を行うことで、利益や損失が確定されます。
FXでは、差金決済が行われるため、決済注文が成立すると、売買の差額にスワップポイントを加えたり減じたりして、
最終的な損益が証拠金に反映されます。
FX取引で失敗しないためのリスク対策5つ
FX取引の始め方とやり方はシンプルで、意外と複雑では無いと感じるでしょう。
ただし、初心者がすぐに取引を開始し利益を上げることは容易ではないのも事実です。
無理な取引で大きな利益を追求すると、かえって大きな損失を招くリスクがあります。
初めての方は、利益を追求する前に、まずリスク管理を学ぶべきです。
FX初心者に推奨されるリスク管理策は主に5つあります。
それでは以下にて、詳しく説明していきます。
FX取引で失敗しないためのリスク対策1:低レバレッジで取引する
初めての方は、レバレッジを低く抑えた取引をすることが重要です。
レバレッジを利用すると少ない資金で大きな利益を得ることが可能ですが、逆に取引が失敗すると大きな損失を被るリスクもあります。
高レバレッジで取引を行い、含み損を抱えると、その金額の大きさから冷静な判断が難しくなることがあります。
初めての方がレバレッジの使い方を誤って大損をするのは、よくある失敗例です。
そのため、初めての方は高レバレッジでの取引は避けるべきです。
FX取引で失敗しないためのリスク対策2:損切り設定をする
FX取引で長期的に利益を上げ続けるためには、損切りを行うことが重要です。
FXには多様な取引手法や情報・ツールが存在しますが、常に機能するわけではありません。
また、スキルと豊富な経験を持つプロのトレーダーであっても、損失は避けられません。
FXでは、損失を最小化し、大きな利益を追求することが重要です。
事前に損切り価格を設定し、その価格に達した際には迅速に損切りを実行するようにしましょう。
FX取引で失敗しないためのリスク対策3:資金管理を徹底する
FX取引において資金を速やかに失わないためには、資金管理を学ぶことが重要です。
資金管理は、適切なリスク管理を通じて証拠金を守るスキルです。
例えば、資金管理の方法の一つとして、一回のトレードで許容される損失額を設定することがあります。
このスキルを習得することで、連敗しても証拠金を守るリスクを低減できます。
FX取引で失敗しないためのリスク対策4:取引手法を決める
レバレッジや損切りなど、初心者に適したリスク対策を解説した上で、
これらを組み合わせた取引手法を構築しましょう。
取引手法は、取引ルールに似ており、感情に流されずに取引の再現性を向上させるメリットがあります。
例えば、FX初心者が陥りやすい失敗の一つに、連敗による損失を取り戻そうとして感情的になり、
無駄な取引を重ねて大きな損失を生じさせることがあります。
取引手法を設定することで、感情に左右されずに機械的に取引を行い、感情的な判断を防ぐことができます。
FXでは、いかに精度の高い市場分析をしても、取引が失敗することはありますので
ランダムウォークと称されるFX市場で安定した利益を得続けるためには、一貫したルールに従って取引を行うことが重要です。
FX取引で失敗しないためのリスク対策5:デモトレードを行う
デモトレードは、仮想の資金を使ってFX取引を無料で体験できるサービスです。
リスクを伴わずにFX取引を体験できるため、実際の取引に先立って多くの初心者が利用しています。
デモトレードの利点は、リスクなしでFX取引を体験できることだけでなく、FX会社が提供する取引ツールを試すことができる点です。
これを本番取引前に利用することで、ツールの誤操作による意図しない損失などを防ぐことが可能です。
さらに、実際に市場で配信される為替レートを使用しており、市場の動きをリアルタイムで感じることができます。
「少額でも、いきなり実際の資金を投入するのは心配」「相場分析や損切りなどのリスク管理をデモトレードで試したい」と
考えている方は、デモトレードからスタートすることをお勧めします。
まとめ
FXの口座開設は比較的容易ですが、FX取引はリスクが低いわけではありません。
しかし、適切な方法によっては、リスクを抑制しながら運用することが可能です。
FX取引を始めたい初心者は、失敗のリスクを減らす推奨される方法を利用して、FXの世界に踏み出してみると良いでしょう。